カメラのシャッターは何故「切る」というのでしょうか?

素朴な疑問を投げかけたビギナーさんがいました。

言われてみれば、「押す」ではなく「切る」と言う人のほうが圧倒的に多いと思いますよね。私も、普段からシャッターを「切る」と言っています。

・・・ということで、小説の創作も一段落したところで、この素朴な疑問に、正直、明快に答えることができませんでしたので調べてみました。

久しぶりの写真関係記事です(^^♪

もっとも70歳を超えた私は、10年以上前に緑内障を患い、今ではフォトグラファーを現役引退しています。


  その昔、幕末頃のカメラは、銀にヨウ素蒸気をかけた乾板をフイルム代わりに暗箱の中に治め、レンズの前のキャップを手で取り外し、待つこと数分から数十分。その間、顔を白塗りしてコントラストを高めたモデル(被写体)はじっと動けず、ブッ倒れそうになる寸前に「OKで~す」の声とともに解放されるのが常でした。

「ダゲレオタイプ」カメラと呼ばれるものがソレですが、19世紀の科学進歩というのはすさまじく、乾板(いまのフイルム)に光を当てて化学変化を起こす「感光」に要する時間はどんどん短縮され、やがて、数秒から数分の一秒といった短い時間で「感光」が終了するようになりました。かつて、数十分もじっとしていなければならなかったのがウソのようです。さすがに、それほど短い時間の感光を、「キャップを手で取り外し、また蓋をする」作業でまかなうことは>不可能ということになり、機械的に短い時間だけレンズの蓋を開ける装置が産み出されました。

これこそが、シャッターというわけです。



撮影日:2016/09/24

Nikon D5500

レンズ: VR 18-200mm f/3.5-6.3G

焦点距離: 200mm

フォーカスモード: AF-A

AFエリアモード: シングルポイントAF

【露出】

絞り値: f/6.3

シャッタースピード: 1/320秒

露出モード: 絞り優先オート


  当初、シャッターは、カメラに外付けの装置でしたが、後にカメラ内に内蔵されます。原始的なシャッターは、基本的に二枚の板で、シャッターボタンを押すと、まず、レンズ穴を遮っていた板が、横にズレて光が通ります。その後、もう一枚の板が、先の板を後から追いかけて、再びレンズ穴に蓋をするのです。つまり、レンズ穴を中心にみれば、シャッター板が、まさしく穴を「切っている」のですね。

こういった機構が、初期型カメラの場合は、先に書いたように「外付け」で、目に付きやすい構造であったために、特に日本では、シャッターを「切る」と呼んだのだと考えられます。

一眼レフなどに使われている「フォーカルプレン・シャッター」と同じ機構ですね。

最初の頃のシャッターの形状は、まず一枚の板を開いて光を入れて時間が来るともう一枚の板で塞ぐというものだったわけです。その板が上から下に落ちることから「ギロチンシャッター」と呼ばれていました。ギロチンとは罪人の首を落とす断首台の事ですよね。

写真機が出来た当初はフィルムの感度も低くてシャッター速度も開いてから閉じるまでに数分かかっていた。そうなると「シャッター」とは、「瞬間的に開いて光を入れる」と言うよりも、どちらかと言うと「しばらく入っていた光を遮断する」と言う表現のほうがあっている感じがします。「遮断する」つまり「切る」と・・・。

スローシャッターを切ってみると、一瞬、黒い幕のようなモノが現れてきます。ファインダーを覗いてご覧になれば、何となく、『切る』という表現が妥当であることもうなずけると思います。


『切るとは、光を遮断することだった』のですね(^_-)-☆


カメラのシャッターを切るということは、目の前に現れた光景への感謝の気持ち。

その瞬間を切り取れたことに対する感謝が込められている。そのようにして・・・かつては写真は撮られていたと思います。


しかし、今は撮ってすぐに写真を確認することができてしまう。多くのカメラマンが、デジタルになって、その瞬間に、全神経を研ぎ澄ませたり、集中したりしないで、流れに任せて撮っている。一回のシャッターのなんと軽くなったことか。


だからこそ、「写真を撮る」ということに、もっと真摯に向き合いたいと思うのでした。



写し屋爺の独り言by慎之介

SFショートショート集・・・《写し屋爺の独り言by慎之介》 写真関係だけではなく、パソコン、クラシック音楽、SF小説…実は私は大学の頃、小説家になりたかったのです(^^♪)趣味の領域を広げていきたいです。ここに掲載のSFショートの作品はそれぞれのエピソードに関連性はありません。長編小説にも挑戦しています。読者の皆さんがエピソードから想像を自由に広げていただければ幸いです。小説以外の記事もよろしく!

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