サラとニナの隠れ蓑
忘れてはいけないスーパーツインズはテレキネシスが威力を発揮していた。テレキネシスでも強力なバリアを張ることができる。それと、パワービジョンがある。これは両目から発する。デビットが持っているパワーウェーブのようなものだ。さらにマインドコントロールがある。唯一マインドコントロールは複数人相手にも効果を発揮できたが油断はできない。
戦いの最中にカーラが目の前にした相手は、かつて自分自身に変身したことのあるラクサム人サラであった。
「サラ?あなたたちがまたここに・・・」
続けて
「核ミサイルを転送してどうするの?核で犠牲者を増やそうなんてとんでもないわ。あなたたちは核の恐ろしさを伝えるべき存在なのに・・・」
「お前たちに何が分かるんだ。あたしたちのような難民は、何処へ行っても迫害を受け続けてきたの、ちょっと他人とは違う姿をしてるだけでね・・・」
そう言うとサラ は突然姿を変えた。
その頭を見てカーラは驚きを隠せなかった。まるで一つ目小僧を見ているようだ。まさしく眼球が一つしかなかった。顔の真ん中に巨大な目が1つだけある奇形は「単眼症」と呼ばれ、脳が左右の半球に正しく分割されず、左右の眼窩が癒合して1つの大きな眼窩が形成されることで生じる。単眼症の症例は、ヒトを含む哺乳類で見られる。このような重い障害をもつ動物は生後すぐに死んでしまうことが多いが、サラとニナは放射能汚染の影響を強く受けて生まれた。「単眼症」は放射能汚染がマイナスに作用した結果だが、プラスに働いた効果が「変身能力」といっても過言ではなかった。そして、彼女たちにとって変身は格好の隠れ蓑となった。
「これがあたしの本当の姿だよ。どの星に行っても眼が一つしかない化け物扱いされてきたあたしたちの気持ちがわかるかい。皆と違う外見だけで、冷遇され弾圧の対象となってつまはじきにされて、家族や生活が壊されたまま、精神が病んで、人生を狂わされてしまったあたしたちに向けられるのは、完全に“好奇の目”だよ」
カーラには返す言葉が見つからなかった。
そこへ参戦してきたのはニナであった。
「あたしたちは誰にも追従しちゃいないよ。誰であろうと信じていない、信じるのは自分自身だけだよ」
そしてニナを追ってメグも現れた。メグはニナに向かって、
「あなたたちが他人に裏切られてきたことは気の毒に思うわ。だけど、殻に閉じこもっていても何の解決にも結び付かないわ。勇気を出して私たちを信じて、私たちはあなたたちを助けたいのよ・・・」
カーラが、核の転送場所の探索のためにサラたちのテレパシーが伝えるイメージを待っていたときのことを思い出した。カーラは、サラとニナに向かって
「以前、居場所を見つけるためにあなたたちからのテレパシーを待っていた。その時、テレパシーのイメージの中に、あなたたちの心の奥底では”核”を恨んでいるあなたたちが見えた。・・・あなたたちの本心はやはり”核”を憎んでいる。自分に正直になって。私には分かる、あなたたちが芯から悪に染まっているとは思えないわ。お願い、マリコフに加担しないで・・・あなたたちが受けた仕打ちを思うといたたまれないわ。でも破壊と復讐に生きたところで心の傷は決して癒されないわ」
「他人の指図は受けないよ」
いきなりサラとニナはガーシャ人に変身してスーパーツインズに接近戦を挑んできた。思わずカーラもメグも二人のガーシャ人に変身したラクサム人と組んで格闘が始まった。
その時サラが笑顔を浮かべて言い放った。
「油断したね、これでまたスーパーツインズに変身できるようになった」
カーラもメグも思わず組んでいた相手から数メートル前方にテレポートした。振り向いた時にはサラもニナも姿を消していた。一度サラとニナの変身をマインドコントロールで解除したのに、再び変身を許してしまうことになってしまった。
カーラとメグの前から消えたラクサム人と入れ替わるように現れたのがディルクとディーデであった。マティアス人のディルクとディーデがついにスーパーツインズの前に立ちはだかった。
この時はまだマティアス人の能力についてサリームメンバーは誰も把握していなかった。そして、満を持してディルクとディーデは能力を惜しげもなく発揮することになったのだ。
さらに悪いことに、この時転送ポータルの起動までの時間が残り10分を切っていた。
そして、ドゥルーズ星サイボーグと格闘していたリリーが、突然フラッシュバックのような現象を体験した。リリーが脳裏で見たイメージ映像はとんでもないものだった。
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