ジミー危機一髪

本編は「マリコフの知られざる秘密」・・・続編です。


「マリコフ、僕が相手だ!」

驚いたのはマリコフとカルロスだった。

 マリコフは、突然目の前に現れたアメリカンショートヘアーを凝視した。その猫が、「やんのかポーズ」で人間の言葉を発したのだからなおさらだ。そして次元ポータルの起動をためらったのは無理もない。

「何だ、お前は・・・?」

「僕はジミー・オルソン・・・マリコフ、あんたが地球人だったことにはびっくりしたけど、僕もれっきとした地球の猫だよ」

 マリコフは驚きを隠そうともしないで、

「地球の猫がそんなに進化しているとは知らなかった」

「マリコフ、警告しておく、僕を甘く見ないほうがいいよ。あんたと同じ地球生まれだからね。特異体質は半端じゃないよ!」

カルロスが

「マリコフ様、ここは私にお任せください」

そう言うなりカルロスはテレキネシスでジミーの小さな体を吹き飛ばそうとした。だが、ジミーはビクともしない。

「そんなんじゃあんたの念力は僕には効かないよ、もっとパワーを上げなよ」

ジミーはカルロスを焚きつけた。

カルロスが思いっきりパワーを上げてジミーを翻弄しようとした瞬間に、カルロス自身が後方に吹き飛ばされて、バオバブのような大きな木に激突してしまった。

 不意を突かれたカルロスはどうすることもできなかった。そのまま後頭部を打ち付けて気を失ってしまった。

「かわいそうに自業自得だね!マリコフ・・・僕は何もしてないよ。自分の力を過信するとこうなるんだ」

「そういうことか・・・ジミー、貴様のパワーの正体はわかった。私のパワーにどこまで耐えられるか試してみるがいい」

マリコフは全てのサイコパワーをジミーに注ぎ込んできた。持っていた鞭を傍らに捨てると、両腕を大きく広げて手のひらをジミーに向けて構えた。



 ジミー はマリコフのパワーをまともに受けてしまった。あまりにも強大なサイコパワーを受けてしまったジミーは一瞬怯んでしまったが何とか耐え忍んでいた。小さな体の全身が軋み体毛は総毛立ち、牙がむき出していた。

 その様子をまじかに見ていたサリームたちだがどうすることもできなかった。

 

 マリコフの表情には余裕が生まれ、薄ら笑いさえ浮かべていた。

「お前のアンチパワーは私に勝つことはできないだろう。私のパワーの源は核融合と同じなのだ。原子同志がぶつかって新しい原子ができる。その核融合反応からできるエネルギーによってサイコパワーが生まれているのだ。私のパワーを思う存分味わってみるがいい」

 簡単に説明すると、水素のような軽い原子がもう1つの水素の原子とぶつかって1個のもう少し重たい原子ができる反応を核融合反応という。このとき1つになった原子はごくわずかな質量を失う代わりに、非常に大きなエネルギーを生み出す。このエネルギーがマリコフの場合、サイコパワーとなって現れるというのだ。

 ジミーは最後の力を振り絞って耐えていたが、もう限界に近づいていた。


…続く

写し屋爺の独り言by慎之介

SFショートショート集・・・《写し屋爺の独り言by慎之介》 写真関係だけではなく、パソコン、クラシック音楽、SF小説…実は私は大学の頃、小説家になりたかったのです(^^♪)趣味の領域を広げていきたいです。ここに掲載のSFショートの作品はそれぞれのエピソードに関連性はありません。長編小説にも挑戦しています。読者の皆さんがエピソードから想像を自由に広げていただければ幸いです。小説以外の記事もよろしく!

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