マリコフの知られざる秘密
「お前たちは核の本当の恐ろしさを知らない。地球の技術力をもってすれば、核開発に入ってから核兵器を作り上げるまでに1週間あれば核兵器は完成するであろう。材料さえあれば、それほど核兵器を造ることは簡単だ。これが核の恐ろしさだ。しかし、この銀河連合は核拡散防止のためと言って強力なセキュリティを張り巡らした。その一方で連合自体が核の製造をしているのが実態だ」
サリームたちの表情がこわばった。
「シャリー、お前たちは地球人を欺いているのだ!」
すぐさまシャリーが反論した。
「それは違う!・・・お前のように核に固執する者が後を絶たない現状を考えて、万が一の場合に備えた予防策だ」
「・・・ほほう、予防策とはよく言ったものだ。やっていることは私と同じではないか。連合こそ核を廃絶しなければならない立場ではないのか?言い換えれば、お前たちも核の必要性を認めているのだぞ」
カーラが
「あなたの言うことはわかったわ。でも、何の罪のない人たちまで巻き添えにして核をちらつかせて脅すことは間違っているわ。あなたがそれほどまでに核にこだわる本当の理由を教えてほしい」
マリコフはしばらく沈黙していたが
「・・・私は・・・私の先祖は・・・いや私が生まれたのはラクサムではない・・・この地球だ。しかも地球歴で1945年8月6日生まれの日本人だよ」
サリームたち一同がざわめいた。
「私の染色体遺伝子は特殊なのだ。老化は止まっている・・・だから今まで生きてこられたのだ。銀河連合が、地球の原爆調査のために極秘で度々訪れていたことも知っている。そして、持って生まれたサイコパワーを駆使して、その調査船にこっそり便乗して地球を脱出したのだ。そして、ラクサムにたどり着いたとき再び原爆の被害に遭遇し、ラクサム人との間にもうけた子供たち3人と夫が犠牲になったというわけだ。そこで私は悟った・・・核がある限り悲惨な状況はこの銀河系からなくならない。銀河連合が極秘に核を保有していることを知った私は、核兵器を根絶することは無理な話だと気づかされた。そして、銀河を平和的に統一するには核の力が必要と悟ったのだ。このことは、ここにいるカルロスも知らないことだ。ひとつ訂正しておきたいことがある。私は”罪のない人たち”を脅したことは一度もない。私の逆鱗にふれたのは核保有の兆しが見えた星たちだ」
メグが
「今からでも遅くないわ、核廃絶は絶対にできると信じて!・・・私たちと一緒になれば絶対にできるよ」
「夢物語はもうたくさんだ! どうしても私の仕事の邪魔をするというのなら覚悟を決めておけ!もう一度異次元に飛ばされたいのか」
マリコフがそう言い放つと手に持っていた鞭に意識を集中しようとした。
・・・そこへ、マリコフの前に突然現れたのがジミー・オルソンである。
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