お母さんのダイエット

本編は「父の上司」…続編です。


お母さんのダイエット


 その翌日、トミーが小学校に登校するとき、ベンちゃんに言った。

「ベンちゃん、僕は学校の登校日だから、今日はお母さんと一緒に仲良くお留守番しててね。お昼過ぎには帰るよ」

「お母さんと一緒に仲良く留守番するよ」


トミーの母親は、朝のうちに室内の掃除や洗濯を済まそうと忙しそうにしていた。今では室内の掃除のほとんどは、ボタン一つで掃除ロボットがやってくれる。だからあえて掃除をしなくても室内はいつもきれいになっているはずだが、最近お母さんは、ロボット掃除機を使わないで自分で拭き掃除をやっていた。


体を動かすのはダイエットの基本だ。

お母さんは今ダイエット中、毎日体重を測って一喜一憂していたのである。



そんなお母さんをそばで見ていたベンちゃんは、

背後から、

「お母さんはどうしてそんなに太っているの?」

・・・と聞いてしまった。

お母さんは今ダイエット中で、ことのほか”太っている”という言葉に敏感になっていた。

振り返ってベンちゃんを睨みつけた。

「ベンちゃん・・・あんたっていう人・・・」


次の瞬間、ロボットであることに気づいたお母さんは


「・・・ロボットは一番気にしていることをよくも平気で言えるもんだね」

「だって、太っていると健康に悪いし、いろんな病気になるリスクが増えるんだよ」

つづけて、

「お母さんは、トドと見間違えられそうだよ!だから、お父さんも嫌がってるかもしれないよ」

と、・・・フォローのつもりで言った。

「・・・あのねぇ」


お母さんはもう少しでベンちゃんを殴るところだったが、ベンちゃんがロボットであることを思い出して我に返った。


 その夜は、いつもより食事の量を減らしてダイエットを頑張るお母さんでしたが、夜中にこっそり食べるチョコのおいしいことといったら……!

さらに、翌日には、近くのスポーツジムへ、頑張ってジョギングしながら行ってスイミングもして、『あー疲れた!頑張ったご褒美に・・・!』と、ランチをお腹いっぱい食べていた。


ベンちゃんの忠告もむなしく、

「痩せたい、痩せたい!」と言っているわりに一向に痩せる気配がないお母さんでした。


…続く

写し屋爺の独り言by慎之介

SFショートショート集・・・《写し屋爺の独り言by慎之介》 写真関係だけではなく、パソコン、クラシック音楽、SF小説…実は私は大学の頃、小説家になりたかったのです(^^♪)趣味の領域を広げていきたいです。ここに掲載のSFショートの作品はそれぞれのエピソードに関連性はありません。長編小説にも挑戦しています。読者の皆さんがエピソードから想像を自由に広げていただければ幸いです。小説以外の記事もよろしく!

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