祖父母のショック
祖父母のショック
ベンちゃんは、両親が休日の日、6人乗りのエアカーに乗り家族総出で、トミーの祖父母に会いに行った。トミーの祖父母が暮らしている地域は1,000キロも離れていた。都心から田舎町の農村部にエアカーを飛ばして行くと、ベンちゃんは物珍しそうに車窓の景色の移り変わりを眺めていた。見慣れた高層ビルの風景とは違う田園風景が広がる車窓は、ベンちゃんにとって初めての経験だった。
広大な土地に広がる黄金色に輝く麦畑を見てベンちゃんは
「あれは何をしてるの?」
「コンバインという巨大な機械を使って小麦を刈りとっているんだよ。コンバインは小麦の穂の部分を収穫し、茎は後ろに置いていくんだ。もう収穫時期なんだ」
べんちゃんはコンバインの動きをじっと追いかけていた。
「コンバインはひとりで動いているんだね。あれもロボットなの?」
「無人で動いてるよ。まぁ、ロボットの仲間かな」
・・・、お父さんが答えた。お父さんはもっと若い頃、父親の小麦畑の仕事を手伝ったことがあったのだ。今はすべてが機械化とAI管理が行き届いているので、ほぼ全自動で収穫できる。
「僕はコンバインでなくてよかった!」
「そうだねぇ~」
家族の皆がベンちゃんの言葉に笑った。
しばらくすると祖父母の家に到着した。祖父母がさっそく家から出てきて出迎えてくれた。
「トミー元気だったかい?」
おじいちゃんがトミーを抱きかかえようとしたが、ベンちゃんに気づいて・・・
「このロボットはなんじゃ?」
トミーが
「ベンちゃんだよ。僕が作ったんだ!」
「僕ベンちゃんだよ。よろしくおねがいします」
祖父母はベンちゃんがしゃべるのをきいて驚いたが、すぐに笑顔でベンちゃんを抱き上げてくれた。
祖父母はベンちゃんを可愛がってくれた。どうやら、癒やし系ロボットだと勘違いしているようであった。
だけど、そのうちベンちゃんは、祖父母の年齢や病気について率直に質問してしまった。
「おじいちゃんは何歳?」
「110歳じゃよ」
「それじゃ・・・もうすぐ死ぬんだね?」
そばで聞いていたお母さんが
「なんてこと言うんだ、この子は・・・」
お母さんの言葉も意に介さず、ベンちゃんはおばあさんの方に向いて
「おばあちゃんは何で歯がないの?入れ歯って痛くないの?歯磨きしてなかったの?」
祖父母は笑顔で答えるが、内心はショックを受けているのは間違いなかった。
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