ライブ

 ホバーボード・バスケットというのは、ホバーボードに乗って、パスでボールをつなぎ、相手コートのリングに投げ入れる競技だ。7人制ホバーボード・バスケットの攻防は全員攻撃・全員守備。屋内外100m×150mのコートの中で、14人がホバーボードに乗ってスピーディーな接近戦を繰り広げる。5秒以上ボールを保持してはいけないという基本ルールがあるので、5秒以内に誰かにパスしなければいけない。相手を翻弄するようなトリックプレーや不可能とも思える体勢から針の穴を通すようなショットは痛快だ。歴史は浅い。なにしろ新世代のホバーボード自体が一般的に使用できるようになってまだ10年そこそこだ。地面から浮遊し、乗り手が地面を蹴った勢いで前進する乗り物であるが、昔からあるホバーボードとは違う。旧来の浮遊は、乗り手の足が地面につく程度であり飛行と言えるものではなかったが、現在主流となっているのは、浮遊の程度が大幅に異なる仕様である。「飛行」と言っても良いレベルなのだ。最大浮遊高度はなんと30メートルだ。バランス感覚が重要なのは言うまでもないが、ボード自体の素材と浮力を支援するテクノロジーがボード内部に備わっているのだ。もちろん乗り手はヘルメット着用で、専用のスーツと合わせて初めて「飛行」レベルに達することができるのである。新世代ホバーボードの普及に伴い新しいスポーツが考案された。そのひとつがホバーボード・バスケ、コートのリングの高さはなんと20メートルもある。

 僕は趣味でも毎週、3連休の初日には仲間とホバーボードをやっている。必ず仲間と一緒に近くの屋内施設に通う。バスケではないが、こちらはホバーボード・クロスカントリーのまねごとをやっている。野山を駆け回るために生まれたホバーボードの原点とも言える競技。スケーティング技術や体力、ボードの滑走性や戦略、そして精神力までが問われる。ホバーボード・クロスカントリーのための練習用施設が屋内にあるのだ。

 仲間から今日のホバー・バスケのライブチケットが3人分手に入ったという。もちろん速攻で行くと決めた。いつもならバーチャルで観戦するのであるが、今日はライブ観戦だ。レッド・ウイングとドラゴン・ファイターズの最強チームの一戦は絶対に見逃せない。

 喜び勇んで我が家に帰ってきたらパートナーがいきなり、

「今日はライブ楽しみ~」

「楽しみだねライブ・・・」

と返事をしたものの、ハッと気がついた。すっかり忘れていたが、パートナーが大ファンの人気シンガー(名前忘れた)のコンサートライブに一緒に行くことになっていたのである。

 俺のライブどうなる?

写し屋爺の独り言by慎之介

SFショートショート集・・・《写し屋爺の独り言by慎之介》 写真関係だけではなく、パソコン、クラシック音楽、SF小説…実は私は大学の頃、小説家になりたかったのです(^^♪)趣味の領域を広げていきたいです。ここに掲載のSFショートの作品はそれぞれのエピソードに関連性はありません。長編小説にも挑戦しています。読者の皆さんがエピソードから想像を自由に広げていただければ幸いです。小説以外の記事もよろしく!

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