ユリウスの抵抗(始動…続編)

本編は「始動」…続編です。


 スカイ・フォーの周りをユリウスのサイボーグたちが取り囲んでいた。全部で12人だ・・・いや、上空にも3人のサイボーグたちが浮遊していた。彼らの両腕はすべてスカイ・フォーメンバーに向けられていた。つまり砲撃準備完了ということだ。ユリウスのサイボーグがスカイ・フォーに警告した。

「お前たちはもう逃げられない。一歩でも動けば一斉に砲撃するぞ」

さらに残る3人のユリウスサイボーグが、遠巻きに観察していた政府軍のサイボーグたちに向かって威嚇していた。助け出された市民たちは祈るようなしぐさでこの様子を見つめていた。

 デジタル・マインド(D・M)ウイルス性兵器はロジックボムの一種であることが分かっているだけである。ロジックボム(論理爆弾)とは、特定の条件を満たすとコンピュータの破壊活動を開始するマルウェアのこと。サイボーグに移植された「人間の意識」に侵入して直接影響を与える。政府軍のサイボーグたちはD・Mウイルス性兵器には無防備なのでどうすることもできないでいた。

 

 デビットが一瞬ニヤリとした、その時だった。彼らめがけてユリウスのサイボーグが一斉に砲撃を始めたのだ。砲弾と光線の入り混じった攻撃でスカイ・フォーのいた場所は土煙で視界が遮られた。砲撃が止むと、そこは大きなクレータのような穴がえぐられていた。しかし、もぬけの殻状態でスカイ・フォーの姿かたちはなかった。

デビットが大きな声で

「お前ら何処を狙ってんだ、僕らはこっちだよ!」

声のする方角は30mほど先にあった。スカイ・フォーは示し合わせた場所に一瞬で転送を開始したのである。これにはさすがのユリウスのサイボーグたちも予測できなかったようだ。しかしすぐさま次の砲撃が開始された。これもまた同じくもぬけの殻のクレータができただけである。スカイ・フォーは転送を繰り返すこと5回。神出鬼没状態のスカイ・フォーに対して、ユリウスのサイボーグたちはなかばパニック状態で支離滅裂に砲撃を始めてしまった。

 ついにはユリウスのサイボーグ4人に対して、スカイ・フォーから放たれた「フラッシュリング」が纏わりついて行動出来ないように拘束してしまった。

「くそ~、これはいったい何なんだ」

クリスチーヌは

「フラッシュリングよ、あなたたちの行動を止めるための処置です。これ以上の抵抗は無駄よ。ここにいる全員を拘束しますよ」

突然、拘束されていた4人のサイボーグたちがその場に倒れこんでしまった。彼らはあっさりと機能停止してしまったのだ。つまり「死」に至ったということ。

ミニョンが

「なんてことを・・・」

拘束されていたユリウスのサイボーグ4人は、仲間のサイボーグのD・Mウイルス性兵器によって殺害されたのである。


 メレンチーはこの様子をリアルタイムに把握していた。拘束されていたユリウスのサイボーグ4人を殺害するように命令を下し、

「撤退させろ・・・出直しだ!」

唇をかみしめるとルスラン博士に意見を求めた。

ルスラン博士は

「”光る環”といい”転送能力”といい”緑の治療光線”といい・・・見たことがない。スカイ・フォーはバージョンアップしとるが、ヒュームが介入していることは間違いありません」

「ヒュームだと・・・あの惑星ヒュームのことか」

「そうです、我々の科学をはるかに超えたテクノロジーを持っています。敵に回れば手出しはできなくなります。でもご安心ください、我々には強力な助っ人がいます」

「いったい誰じゃ?」

「私は密かにラウロたちを使ってヒュームのことを調べておりましたところ、大変有益な情報を手に入れました」

「もったいぶらずに早く申せ」


…続く。

写し屋爺の独り言by慎之介

SFショートショート集・・・《写し屋爺の独り言by慎之介》 写真関係だけではなく、パソコン、クラシック音楽、SF小説…実は私は大学の頃、小説家になりたかったのです(^^♪)趣味の領域を広げていきたいです。ここに掲載のSFショートの作品はそれぞれのエピソードに関連性はありません。長編小説にも挑戦しています。読者の皆さんがエピソードから想像を自由に広げていただければ幸いです。小説以外の記事もよろしく!

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