ウイルスワクチンソフト(メレンチーの奸計…続編)

本編は「新たなる展開」…続編です。

 シャリーの提案、カーラとメグが加わることで「サリーム」を編成することが全員一致で承認されたまさにその時、会議室に忽然と現れたものがあった。

「皆さん驚かせてすみません」

現れた男から非常に丁寧な言葉が発せられた。

クリスチーヌが男に向かって

「ラウロ・・・」

会議室に現れた男は間違いなくラウロであった。一瞬全員の身体に緊張が走った。

ラウロはすぐさま話し始めた。

「ルスラン博士のメッセージを持ってきました」

この言葉で会議室に張り詰めた緊迫は解かれることとなったのだ。

 ラウロの第一の目的はウィン博士にD・Mウイルスのワクチンソフトを届けることだったのだ。

「このカプセルの中にワクチンのデータファイルが入っています。政府軍サイボーグたちにこのワクチンを流してください。ユリウスサイボーグに対してはルスラン博士がワクチンを投与します。これでD・Mウイルスの脅威は回避できます」

 ラウロは、ホログラムを立ち上げてルスラン博士からの動画メッセージを一同に公開した。

 メッセージは・・・ルスラン博士はメレンチーに協力してきた経緯と反旗を翻すに至った実情を語っていた。そしてメレンチーがハルムたちと核兵器の取引を遂行しようとしていることに注意を促していた。 さらに、ラウロ自身の身体能力が飛躍的に高まったのはルスラン博士がハルムたちから得たヒュームのテクノロジーのおかげであることを明かした内容だった。最後にルスラン博士がウィン博士に宛てたメッセージは、ラウロの三原則解除の是非はそちらに任せる、そしてラウロを役立ててくれという事、自分はメレンチーが間違っても核のボタンを押すことのないように引き続き動向を監視している旨を伝えていた。

 ジョージがラウロに、

「メレンチーのもとにとどまっていることでルスラン博士の身の安全が心配だね」

ラウロは、

「その点は、僕のクアンタム仲間が護衛にあたってるから心配ないですよ」

デビットが、

「それじゃ・・・ラウロ君もサリームとして入ってもらうことに意義ありの人は?」

一同を見渡して

「意義なし・・・ということで、これでラウロもサリームのメンバーだね」

「サリームって何ですか?」

デビットがラウロにサリームメンバーの一人一人を紹介した。


 3日後にはD・Mウイルスのワクチンソフトができた。このワクチンはインストールされたデジタル・マインドめがけて侵入するため、サイボーグボディそのものには直接影響を与えない。軍事サイボーグはそもそも有事の時だけ活動するボディだから、普段はカラの状態で倉庫で眠っている。したがって、出動前のデジタル・マインドにワクチンを投与すれば済むことだ。投与されたデジタル・マインドを軍事サイボーグボディにインストールすればよいことになる。

 ウィン博士はワクチンソフトを一刻も早く届けるためにスカイ・フォーに託した。ネット回線で転送という方法もあるが、スカイ・フォーはユリウスの攻撃で負傷した大勢の民間人の救護のために医療機器が必要なところに届ける任務もあった。これらの医療機器はヒュームのテクノロジーが使われていた。それにスカイ・フォーなら、政府軍もすでに味方であることを認識しているので面倒は起きない。国連を通してリビア国民統一政府の軍事施設にも事前通告して承諾を得ることができた。

 

 2時間後には、スカイ・フォーはリビア国民統一政府の軍事施設内にテレポートで現れた。事前通告のおかげで混乱はなかった。むしろ熱烈な歓迎を受けた形だ。軍関係者の多くが彼らを間近で一目見ようと詰め掛けていた。

デビットが、

「すごい歓迎だな、僕らはまるでSFの世界のヒーローみたいになっちゃったね!」

 一方のユリウス側は、ルスラン博士がサイボーグ相互通信のリンクにワクチンを流す準備ができていた。投与された本人は一瞬頭に違和感を感じるかもしれないが、ワクチンの投与とは全く気づくことはない。そして博士はラウロからの政府軍サイボーグのワクチン配布完了のメッセージを待っていた。双方のワクチン接種完了を合図に、政府軍は攻撃用の軍事ドローンと軍事サイボーグそしてスカイ・フォーもサポートとしてユリウスへの総攻撃を開始するのだ。


…続く。

写し屋爺の独り言by慎之介

SFショートショート集・・・《写し屋爺の独り言by慎之介》 写真関係だけではなく、パソコン、クラシック音楽、SF小説…実は私は大学の頃、小説家になりたかったのです(^^♪)趣味の領域を広げていきたいです。ここに掲載のSFショートの作品はそれぞれのエピソードに関連性はありません。長編小説にも挑戦しています。読者の皆さんがエピソードから想像を自由に広げていただければ幸いです。小説以外の記事もよろしく!

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