予知夢

本編は「リリーの徴候」・・・続編です。


 「リリーが予知夢を見たんです」

サイモンガいきなりウィン博士に話しかけた。

「まぁ、落ち着いて話してくれないか、ルスランも呼ぼう」

1時間後にはルスラン博士とスカイ・フォーも加わっていた。さらにウィン博士はヒュームのシャリーにも伝えて、カーラとメグとともにディメンションwebで参加していた。ディメンションwebとは、広大な銀河系宇宙を繋ぐ次元ネットワークでリアルタイムのホログラム通信が可能なテクノロジーだ。

 

 最初にシャリーが発言した。

「リリーさんの夢の正体はまさしく予知夢ですね。それもかなり具体性があります。予知夢を持っている星の住民がいます。アウラ星の原住民です。リリーさんの予知夢はこのアウラ星の原住民とよく似ています・・・それはさておき、一番懸念される夢の内容は夜空に浮かぶ”光るアーチ”の光景です。先ほどリリーさんの夢を精査したところ”転送ポータル”の映像に酷似しています。マリコフたちが地球上に建造した”転送ポータル”を起動しようとしているのではないかと思います。それもここ数日以内です。起動すればすぐに所在は判明しますが、その時には転送を阻止する事は出来ません」

クリスチーヌが

「転送ポータルを使って・・・核ミサイルね」

シャリーは

「そう、皆さん察しがついていると思いますが、核です。転送ポータルを使えば、一度に大量の核弾頭を転送できるのです。起動できるまでには時間がかかります。膨大なエネルギーを必要としますので、太陽光をエネルギーに変換するのに2日かかります。先ほど地球の周回軌道にある私たちの監視衛星で精査した所、幸いまだ起動エネルギーの徴候は見られませんでした。その前に所在を突き止めて起動を阻止しなければ大変なことになります」


 ルスラン博士がウィン博士に提案した。

「この際だからウィン、カーラとメグにもここに来てもらっておいたほうが良いのでは?火星人の件は緊急レベルが低いと思うのだが・・・特に火星からだと到着までに3日はかかる」

ウィン博士はカーラとメグのホログラムに向かって、

「どうだろう君たち、来てもらえるかね?」

ふたり同時に

「大丈夫です」

そこへシャリーが割って入った。

「そういうことなら、いいものを提供しましょう」

しばらくするとオフィスの隅に現れたものがあった。高さ2mほどの光るアーチが突然出現したのである。

「皆さん、驚かせてしまったようだが、それは例の転送ポータルのミニ版です。カーラとメグさんそれぞれのオフィスにも現れたと思いますが・・・」

シャリーが続けて

「私たちの監視衛星にも同じものがあります。これで地球、月、火星の拠点を自由に転送で結ぶことが出来るようになりました。瞬時に移動できますよ」

 その時である、・・・突然オフィスのモニターに流れたニュース映像に全員くぎ付けになってしまった。巨大に光るアーチのようなものが地上に映し出されていた。アナウンスは、中国にある核ミサイル施設によく似た地上風景とともに、正体は不明、高さ100mはありそうだと伝えていた。

ウイン博士が、

「あれはいったい・・・」


…続く

写し屋爺の独り言by慎之介

SFショートショート集・・・《写し屋爺の独り言by慎之介》 写真関係だけではなく、パソコン、クラシック音楽、SF小説…実は私は大学の頃、小説家になりたかったのです(^^♪)趣味の領域を広げていきたいです。ここに掲載のSFショートの作品はそれぞれのエピソードに関連性はありません。長編小説にも挑戦しています。読者の皆さんがエピソードから想像を自由に広げていただければ幸いです。小説以外の記事もよろしく!

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