不信の瓦解

本編は「パニック」・・・続編です。

 一連のパニックをメディアが報道していた。どこのチャンネルでもこのニュース映像が流れていた。報道は人々の不安が増幅しないか心配していた。世界にまたがるパニックの根源が何処にあるのか?国連の見解は?対策は?誰かの仕業なのか?・・・これらの疑問に対してメディアが動き出した。そして、国連がスーパーツインズがパニックの収拾にあたることを発表した。スーパーツインズを含むサリームの存在は、今や巨大転送ポータルの一件以来全世界にクローズアップされていた。

 カーラが去ってすぐに、メグが転送ポータルから現れた。

そして、スカイ・フォーとファンタスティック・スリーはカーラを追いかけて現地へ飛んだ。メグとエル、カル兄弟はパニックの終息にあたるためマンハッタンにテレポートした。マンハッタンにはミル・マームというリーヌスがいる。カル・タイが彼にテレパシーでアクセスするとマンハッタンの現場のイメージが、シンクロしていたメグにも伝わってきた。そのイメージに向かってテレポートすればよいのである。

 マンハッタンは朝の9時過ぎだ。

カル・タイがリーヌスに向かって口を開いた。

「ミル・マームそこまでだ」

火星人の後ろから突然現れた三人の人物。メグとエル、カル兄弟である。カル・タイがミル・マームという火星人をたしなめた。

リーヌスのミル・マームは

「誰だ!」

「私はリーヌスのカル・タイだ・・・」

ミル・マームが、

「カル・タイ、あなた自身がどうしてここへ・・・」

 カル・タイは兄のエル・タイをミルに紹介した。そして、ラオの儀式を経て改心したことをミル・マームに告げた。ラルスが放った奸計を阻止するために、かつての仲間であるミル・マームたちを説き伏せる目的でやって来たのである。ミル・マームは最初、エル、カル兄弟を疑いの眼で見ていたが、兄とのラオの儀式の事実をテレパシーで伝えると納得してくれた。

 メグとエル、カル兄弟の三人は、ミル・マームを引き連れて、次に日本へテレポートした。 

 京都は夜の10時を過ぎていた。祇園の花街に通じる西楼門でたくさんの観光客が右往左往してパニック状態に陥っている。この半狂乱を引き起こしている張本人が半径1km以内にいるはずである。辺りを散策すると明らかに観光客とは違うコスチュームに身を包んでいるマーシャン・リームと思われる人物が意識を集中して立っていた。

カル・タイが背後から声をかけた。

「パニックはもう終わりにしろ、マル・ガイ」

 突然、マル・ガイは背後から声をかけられ驚いて振り向くと、メグとエル、カル兄弟、そしてミル・マームの四人が立っていた。同じ様に説得を始めたカル・タイたちはマル・ガイをラルスの呪縛から解放してやった。

 さらに味方を増やした彼らが向かったのはリスボンだ。そして最後にサンパウロに向かった。ミル・マームは、すでにリスボンとサンパウロにいるリーヌスにテレパシーで地球人へのイメージ誘導を止めるように伝えていた。リスボンにいたサド・リーと、サンパウロのカイ・レフトは、例によってともに最初強い不信感を抱いていた。しかし、マーシャン・リームたちはいとも簡単にお互いの不信を瓦解する術をテレパシーがみごと補完していた。

 一件落着したメグたち総勢七人はカーラたちのいる現場にテレポートした。


…続く

写し屋爺の独り言by慎之介

SFショートショート集・・・《写し屋爺の独り言by慎之介》 写真関係だけではなく、パソコン、クラシック音楽、SF小説…実は私は大学の頃、小説家になりたかったのです(^^♪)趣味の領域を広げていきたいです。ここに掲載のSFショートの作品はそれぞれのエピソードに関連性はありません。長編小説にも挑戦しています。読者の皆さんがエピソードから想像を自由に広げていただければ幸いです。小説以外の記事もよろしく!

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