模 索

本編は「不信の瓦解」・・・続編です。


 その頃カーラたちは、ラルスの用意したワープ・ドライブを囲み相手と対峙していた。ワープ・ドライブの形状は、直径5mほどの円盤で厚みが1mある。

 20分前・・・

 カーラとスカイ・フォー、ファンタスティック・スリーは、例の転送ポータル跡地にテレポートしてきた。円盤状のワープ・ドライブのそばには、ラルスの一行5人とバリーの側近3人が何食わぬ顔で陣取っていた。

 テレポートしてきたサリーム・メンバーを見たラルスであったが、たいして慌てた様子を見せなかった。むしろ余裕の表情を浮かべて、サリームメンバーを迎えた。

ラルスが笑みを浮かべて、

「遅かったな、我々はすでに核弾頭を頂いた。お前たちが来たからには長居は無用、これから撤収だ。邪魔しないでほしい」

カーラが

「ラクサム人は核の犠牲者だったはずよ。人は人生を変化させてしまった出来事を恨む。でも、人生を変えるのは出来事じゃなく、あなたたちの心の問題。闇は、闇で追い払うことはできない。可能なのは光だけ。憎しみは憎しみで追い払うこともできない。心だけが癒してくれるのよ。その心を閉ざしてしまったら何も見えなくなるわ。核で憎しみを追い払うことは絶対にできないわ。あなたたちにとって、核の脅威って、核の悲惨さが何だったのかを話してほしい、力になれる事は何でもするわ。お願い核弾頭を戻して・・・」

デビットが、

「いったい何本の核弾頭を盗んだの?」

ラルスの隣にいた非常に若そうに見える少年が、

「・・・6本だよ。地球の周回軌道に待機させてある母船に転送したんだ」

「黙るんだ、マウリ」

ラルスがたしなめた。

「だけど父さん・・・」

ラルスとマウリは親子だったのである。

「お前はこいつらの言うことを聞くのか?」

「僕はもうこんな生き方はやめたいよ。友達もできないし、独りぼっちで生きていても面白くない。この人の言うことに耳を傾けてもいいんじゃないの」

「お前は分かってない、こいつらは善人ずらしているがいずれ化けの皮が剥がれる」



 そこへ現れたのが、パニックの収拾にあたっていたメグたち七人だった。

メグが、

「遅くなってごめん。でも、エルとカル兄弟のおかげでリーヌスの人たちは皆分かってくれたわ」

それを聞いたカーラが、

「ラルス、あなたたちは間違っている。見て・・・リーヌスももうあなたたちの正体を知ってしまったのよ。マリコフに伝えて、私たちは平和な世界を捨てるつもりはない。どんなことがあっても、人は本当にすばらしい心を持っていると信じているからよ。世界を核で押さえつけている限り、自分もそこから身動きできなくなるのよ」

ラルスがむきになって、

「うるさい!地球人のお前らに何がわかるってんだ」

 その時・・・カーラとラルスの間を埋めるワープ・ドライブの壇上に、二人の人物が忽然と現れた。スーパーツインズだ、いや、スーパーツインズに化身したサラとニナであった。


…続く

写し屋爺の独り言by慎之介

SFショートショート集・・・《写し屋爺の独り言by慎之介》 写真関係だけではなく、パソコン、クラシック音楽、SF小説…実は私は大学の頃、小説家になりたかったのです(^^♪)趣味の領域を広げていきたいです。ここに掲載のSFショートの作品はそれぞれのエピソードに関連性はありません。長編小説にも挑戦しています。読者の皆さんがエピソードから想像を自由に広げていただければ幸いです。小説以外の記事もよろしく!

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