マリコフの逆襲始まる
ヒューム人の子孫が住む惑星として銀河系のネットワークに紹介され、ヒューム人の子孫との交易に限って許可された地球・・・ミール第3惑星には豊富な核兵器が眠っていることは既に承知していたマリコフは、ついにターゲットを地球に絞り込んだのである。地球の豊富な核弾頭の存在を知っていたマリコフは、当初簡単に核が手に入ると見込んでいたが、ことごとく核の転送を阻止され焦りを見せていた。配下の総動員も辞さない構えを見せていたのである。今では配下の総勢は500人を超える。そのうちラクサム人は100人足らずだが、その他の惑星出身の特異能力者やサイボーグたちで構成されていた。
一方、地球の或る地域の統治者ハリッシュは、カーラたちのグローバルネットワークのメッセージをきっかけにマリコフの存在を知ることとなった。核放棄を促された多くの統治者たちのなかでも、ハリッシュは核放棄をよしとしなかった。ハリッシュはグローバルネットワークにアクセスしてマリコフとの接触を試みていた。ハリッシュは、グローバルネットワークにも裏ルートがあることを知っていた。これは闇取引で主に使われているのであるが、今では地球人以外のヒューム人などの犯罪組織も利用している。市場があるところには必ず悪の温床もある。
ハリッシュは、ここにアクセスすることでマリコフにたどり着けることを期待していた。核を放棄するくらいなら、マリコフと手を組んであわよくば地球ごと支配下に治めたいという欲望が芽生えてしまったのである。
そんな中、ついにマリコフの配下数人と接触するチャンスがめぐってきた。しかしマリコフたちは交渉する余地を持ち合わせていなかった。先遣隊が地球に到着すると、最初にアクセスしてきたハリッシュをターゲットにした。彼らは焦っていた。サラとニナにつづき、ラルス親子やその仲間のラクサム人たち、ミーチャのルフィナまでもが相次いで地球人に寝返ってしまったのだから。
ところが、ハリッシュは決定的なミスを犯した。最初に接触する多くの場合は、メタバース・・・つまり「仮想空間」である。ここでお互いの真意を探りながら交渉を進めていき、信頼と合意が整った先に、直接の接触を試みるのがセオリーなのである。しかし、彼はいきなり生身の身体をさらけ出してしまったのである。
ハリッシュはマリコフの配下数人に囲まれるといとも簡単に従順な僕となってしまった。ハリッシュは、相手が特異能力の手練れということを全く考慮していなかったのだ。無防備な状態で接触したハリッシュは抵抗する間もなくマインドコントロールの支配下に置かれてしまった。マリコフの先遣隊は5人でいずれもラクサム人だった。ハリッシュの側近たちは主人がマインドコントロールされていることさえ知る由もなかった。
ハリッシュは自分の側近たちに席を外させて、マリコフの先遣隊を自分の執務室に招き入れようとしていた。側近たちはハリッシュの言動に戸惑いを見せたが最終的に従った。この執務室から全ての指示を発信できる。これでマリコフたちは、ハリッシュの統治する領土を掌握したも同然となったわけだ。
そして、ついにマリコフ自身が配下を引き連れ、大挙して地球にやってきた。
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