ジミーの実験
「手加減はいらないよ!」
皆の視線が自分に集まったのを感じたカーラは
「・・・ジミーちゃん、いくわよ・ ・ ・」
カーラは意識をジミーに集中すると部屋の壁に向かってジミーを飛ばそうとした。だがジミーは微動だにしない。カーラは最初ジミーの指示に反して手加減していたのである。しかし、徐々にパワーをアップしていったがジミーは表情一つ変えずその場にとどまったままである。
ジミーが
「カーラ、どうしたのかな?・・・・これは実験だけど、僕にはカーラのパワーが効いてないよ。今度はより小さなパワーで僕を飛ばしてみてよ」
カーラはジミーが言うように、より小さなパワーでジミーを飛ばそうと意識を集中した。すると、突然カーラ自身が後ろに飛ばされてしまった。
ジミーが
「これが僕の持っているアンチパワーだよ。簡単に説明すると、例えば卓球ラケットでは、相手のスピンを変化球にして返す特殊ラバーがあるでしょ、僕のアンチパワーもよく似てるよ。相手のサイコパワーを吸収してキャンセルしたり、サイコパワーを変化させたり、あるいはブーメランのように、そのまま跳ね返して相手にダメージを与えることができるんだ。だから今カーラが後ろに飛んじゃったのは、自分で出したサイコパワーが僕から跳ね返って自分に当たったからなんだ」
ウィン博士が
「ジミーくん、すごいじゃないか!いったいそのパワーをどうやって手に入れたのかな」
「実はエミリーもサイコパワーを使えるようになったんだ」
ジミーが机の上から突然浮遊し、そのまま続けて話し始めた。
「僕が遊びでエミリーとのサイコパワー合戦をしていた時気が付いたんだよ。エミリーはまだまだ十分に自分のパワーを制御しきれていないけれど、僕と同じサイコパワーを持ってるよ」
ジミーの飼い主であるヘレンは脳科学の最先端技術を集めた研究所の研究員である。ここでの様々な実験に参加していたのが猫のジミーだ。ラグドールのメス猫エミリーはジミーのお気に入りの彼女だ。エミリーもジミー同様に脳科学の恩恵を受けていた。”視力を人間並みにしてくれ”というジミーからの要望で造られた視力矯正用メガネをエミリーにも造ってもらったところ、エミリーもサイコパワーを発揮できるようになったのである。しかし、まだ自分で十分に制御できない部分があり、ジミーがアシストしていたのである。
「僕も一緒にマリコフ退治に参加させてよ! もちろんヘレンにも許可をもらってあるよ」
カーラが
「ジミーちゃん、これは遊びじゃないのよ分かってる?」
クリスチーヌが
「ヘレンさんも承知しているんだし、ウィン博士・・・ジミーちゃんのパワーがあればマリコフを抑えられるかもしれませんよ」
ウィン博士はルスラン博士に向かって意見を求めるように
「そうだなぁ、ルスラン?」
「ジミーのパワーがどこまでマリコフに通じるかは未知数だが、試してみる価値はありそうだと思う。一つ考えがある。いざとなったら・・・」
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