アンチパワー
サリーム全員が揃ったところでルスラン博士から告げられたシャリーからの伝言はカーラたちに緊張をもたらした。またしてもマリコフと対峙しなければいけなくなるのだ。マリコフのサイコパワーを如何にして回避するかの方策が見えていなかった。マリコフの鞭の一振りでまた異次元に飛ばされる確率は非常に高い。そうなればお手上げだ。シャリーの所属する宇宙艦隊や公安部の精鋭も、触らぬ神に祟りなしと言わんばかりの態で、遠巻きにしているだけである。
ラクサム人と言われているが、実際のところマリコフの素性はわかっていないのだ。異常なまでに強大なサイコパワーはどのようにして生まれたのか、親兄弟はいるのか、これほどまでに核に固執する理由は・・・? あまりにも強大すぎるマリコフのサイコパワーを封印する術があれば・・・という思いがサリームメンバーの共通した認識だった。
それを察したクリスチーヌが発言した。
「フィオナがマリコフに拘束されたとき幽閉されていた部屋はすべてのサイコパワーを遮断する装置が埋め込まれていたそうです・・・」
ウィン博士が
「それはいったいどういうものなんだ?」
「詳しいことはわからないけど、様々なサイコパワーを持っている捕虜となった当事者のパワーを封印することができるアンチシステム。だから、その部屋の中では、テレポート、テレパシー、変身も憑依もテレキネシスもマインドコトロールもできないというもの。逆に外部からのサイコパワーもキャンセルされてしまう。だけど、外部との会話だけはできる。拘束されている者も拘束する者もお互いのサイコパワーによる影響はすべてブロックされるというアンチシステムだそうよ」
ラルスが
「それなら知ってる。宇宙艦隊でも船に装備してるはずだよ。だけど、欠点は無意識状態の相手を閉じ込めることしかできない。意識が戻った時に役立つだけだ。だから、シャリーもそのことには触れていない。役立つものならとっくに利用してるはずだ」
クリスチーヌが悔しそうな表情を浮かべて
「何かのヒントになればと思ったんだけど・・・」
その時である・・・
突然オフィスの机の上に現れたのがジミーだった。
カーラが
「ジミーちゃんどうしたの?」
「みんな僕のこと忘れないでよ!・・・僕はまだみんなが知らないパワーを持ってる!」
ジミーはドヤ顔で
「名付けてアンチパワーって言うんだ、勝手につけた名前だけど」
ジミーはそう言うと
「誰か僕のことをテレキネシスで投げ飛ばしてみてよ!」
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