サイコパワー

本編は「ラルスへの説得」及び「ジミーの異変」・・・続編です。

「ラルスへの説得」

「ジミーの異変」


 ワープ・ドライブの壇上に忽然と現れたその姿は?

「ス・・・スーパーツインズが目の前にいる!・・・ここは何処?」

ジミーは思わず大声で叫んでいた。

「ヘレン・・・ヘレン・・・」

辺りを見渡してヘレンを探したが、彼女がいるはずもない。

 驚いているのはジミーだけではなかった。

ワープ・ドライブの周囲にいたサリームメンバーもラクサム人たちも一様に好奇の目で見ていた。

 サングラスをかけた猫に似た生物がしゃべったのである。恐怖ではなく、好奇心が勝った。そして、サリームたちは、ロボットの類ではない証拠として、生命反応を感じ取っていた。

 デビットが聞いてきた。

「そこのちびちゃん、君は誰?」

「僕はジミーだよ、ところでここは何処なの?スーパーツインズの二人もいる・・・」

メグがジミーに顔を寄せてきた。

「ここは中国の クムル市ってとこよ 。ジミーちゃんは何処から来たの?私たちを知ってるのね」

「ニューヨークの自宅でパニックのニュース見てたんだけど・・・いきなりここに来ちゃった」

今度はカーラが

「じゃあ、地球の猫ちゃんなのね?人の言葉を話せるんだ。さっきヘレンって、呼んでたけど誰のこと?」

「・・・ヘレンは僕の飼い主で科学者だよ。あっ、そうだヘレンに知らせないと心配してる。僕はスーパーツインズに会いたいと思ってイメージしてたら、ここにテレポートしちゃったみたい」

リリーが

「私最近、なぜか猫の夢を見たけど・・・このことだったんだ。単なる夢だと思ってたけど予知夢だったんだ」


 その後、サリームメンバーとラクサム人はジミーを連れてソフィアのオフィスに戻ってきた。

 早速ジミーはニューヨークのヘレンに連絡を入れて事情を話すと、ヘレンはたいへん驚いていたが、冷静を保ちつつジミーが迷惑をかけていないか心配していた。

 ジミーがテレパシー能力を持ち合わせていることを知ったメグが、ジミーに対して、ヘレンにここへ来てもらうよう提案した。ジミー自身がテレポート能力をまだ完全に把握できていないようなので、メグがテレポートすることになった。

 方法は簡単だ。テレパシーでジミーがヘレンにアクセスすると、ジミーとシンクロしているメグにも伝わる。そのイメージに向かってテレポートすればよいのである。次にヘレンとともにここにテレポートで戻ってくればよいわけだ。カル・タイとともに、リーヌスのミル・マームのいるパニックの現場までテレポートした時と同じ要領だ。

 メグがヘレンを連れてジミーとともに戻ると、ウィン、ルスラン博士たちは挨拶を済ませると、サリームメンバーそっちのけで、二人ともヘレンとジミーを囲んで”しゃべる猫”に興味津々で話し込んでしまっていた。そして、ヘレンが開発した視野形成システムとジミーのサイコパワーとの関連性を熱心に議論し始めていた。新しいテクノロジーを前にすると、寝食を忘れて没頭するというのが科学者の性なのだろう。

 

 ところで、帰るところを失ったサラとニナを含めたラクサム人たちは、地球初の宇宙難民受け入れの申請をすることになった。彼らは当分の間、ソフィアの所有するクアンタム職域研修所の一角があてがわれた。


…続く

写し屋爺の独り言by慎之介

SFショートショート集・・・《写し屋爺の独り言by慎之介》 写真関係だけではなく、パソコン、クラシック音楽、SF小説…実は私は大学の頃、小説家になりたかったのです(^^♪)趣味の領域を広げていきたいです。ここに掲載のSFショートの作品はそれぞれのエピソードに関連性はありません。長編小説にも挑戦しています。読者の皆さんがエピソードから想像を自由に広げていただければ幸いです。小説以外の記事もよろしく!

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