合 流

本編は「ルフィナの抵抗」・・・続編です。


 ルフィナはマリコフから有益な情報を引き出すことに成功した。マリコフの次元ポータルの出どころと入手の経緯である。次元ポータルの入手経路が分かった今、カーラたちにも元の次元に戻るチャンスがあるとルフィナは推測したのだ。だから、この情報を何とかしてカーラたちに届けたいと考えていた。それには自分がカーラたちのもとへ行くしかないのが現状だ。そこで、ルフィナはマリコフを焚きつけて次元ポータルの起動を促すことにしたのである。うまくいけばルフィナはマリコフの次元ポータルの犠牲となってカーラたちのいる異世界に到達できるのではないだろうか。手をこまねいていても進展はない。一か八かの勝負だ。

 マリコフが独房を解放した瞬間、ルフィナはマリコフに憑依する姿勢をあからさまに見せてやった。

マリコフはその瞬間、

「憑依するとは馬鹿な真似・・・後悔するぞ!」

とっさにルフィナの憑依をかわすために鞭の一振りが出たのである。

 案の定ルフィナはマリコフの次元ポータルに吸い込まれてしまった。いや、吸い込まれると思っていたのは間違いだ。正確には、ポータルが開いた瞬間にマリコフがテレキネシスでルフィナをポータルに押し込んだのである。

 ポータルに押し込められたルフィナは、緑の絨毯を敷き詰めたような植物の繁茂する世界に転がり込んでしまった。立ち上がって辺りを見回した。右手方向に大きなドーム都市を発見した。ヴァース人のアンドロイドたちがいるドーム都市なのだろうか。ならば間違いなく次元を移動できたわけだ。



 ルフィナはすかさず神経を集中してカーラをイメージしていた。カーラがルフィナのテレパスに感応してくれるのを待った。

 一方、カーラたちはドーム都市に偵察に行ったサラたちの帰還を待っていた。

カーラが

「一人取り残されたルフィナはどうなったのか心配ね」

デビットがヴァースの原住民の作ってくれた食事をうまそうに食べながら、

「案外マリコフに憑依しちゃってたり・・・」

彼の相変わらずポジティブな思考は健在のようだ。

 その時、突然カーラの身体に緊張が走った。

「カーラ、ルフィナだよ・・・この次元にいるならあたしを見つけてくれ! あたしもマリコフの次元ポータルに吸い込まれてしまったんだよ」

「ルフィナなの? カーラよ!」

「ルフィナだよ!ここへ来られるかい? イメージを送るよ」

 ルフィナからのテレパスであった。

 カーラはすぐさまルフィナのイメージに向かってテレポートした。そして折り返しルフィナを連れて戻ってきた。

ルフィナはサリームたちのキャンプに合流すると、見渡すようにカーラたちを見て

「みんな無事なのか?」

クリスチーヌが

「全員無事よ!あなたこそ一人残されて、皆が心配していたわよ」

「この通りピンピンしてるよ」

 マリコフの次元ポータルの犠牲となったヒューム人4人、サーク人5人、シュメール人3人と挨拶を交わした。またそこにはドーム都市の住民だったというヴァース人が、スランを除いた15人も同席していた。

「・・・ところで、サラやニナ、それにサイモンとリリーもいないね」

ジョージが

「実はドーム都市に偵察に行っているんだ」

「ヴァース人アンドロイドが支配するドーム都市だろ?」

カーラが

「ドーム都市を知ってるの?」

「実は、マリコフからいい情報を手に入れたんだ。それを伝えたくてわざと次元ポータルに吸い込まれたんだよ」

 ルフィナはマリコフとの一部始終を皆に話して聞かせていたところへ、偵察に行っていたサラたちが戻ってきた。サリームたち全員がそろったところで、改めてルフィナはマリコフとの一件を披露した。

まずはマリコフから聞いていたラッシュという相手に会うことだ。


…続く


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写し屋爺の独り言by慎之介

SFショートショート集・・・《写し屋爺の独り言by慎之介》 写真関係だけではなく、パソコン、クラシック音楽、SF小説…実は私は大学の頃、小説家になりたかったのです(^^♪)趣味の領域を広げていきたいです。ここに掲載のSFショートの作品はそれぞれのエピソードに関連性はありません。長編小説にも挑戦しています。読者の皆さんがエピソードから想像を自由に広げていただければ幸いです。小説以外の記事もよろしく!

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