ラッシュ登場

本編は「合 流」・・・続編です。


 ルフィナはマリコフとの会話の中でヒントを得ていた。政府アンドロイドたちの元締めはラッシュと呼ばれている。ラッシュはAIそのものである。その姿はマリコフから聞くことはできなかった。マリコフは以前この次元に迷い込んだ時、ラッシュと核の取引をしている。そのラッシュに近づくためには、マリコフとの接点を政府アンドロイドに見せることでラッシュと接触できるだろう。カーラたちは先遣隊として、カーラ、ルフィナ、サラ、デビット、サイモンたちがドーム都市に侵入することになった。今度はあからさまにその姿を誇示するように、本来の姿を隠すことなくドーム都市の行政中枢機関がある区域にテレポートしたのである。当然ながらほどなくヴァース人アンドロイドたちに囲まれてしまった。

 アンドロイドのひとりがカーラたちに問い詰めてきた。

「お前たち、見かけないその姿・・・誰だ!何処から来た?」

すかさずカーラが返答した。

「私たちはマリコフの次元ポータルの犠牲者よ・・・ラッシュに会わせてほしいの」

「マリコフだと・・・?」

 しばらく彼らはどこかと交信している様子だったが、ほどなく返事が返ってきた。

「ラッシュとの面会に許可が出た。ついてこい」

 カーラたちはアンドロイドの後に従ってついていった。自動走路に乗って約5分ほど移動すると正面の突き当りのスライドドアが音もなく開いた。そのまま中に入り自動走路を降りた。そこは大きなロビーのようなたたずまいで、中央に巨大な3Dモニターが鎮座していた。

 しかし、目の前のその光景がゆっくりと変化していった。巨大3Dモニターが万華鏡のように湾曲したきらびやかな光を展開したかと思うと次の瞬間には、あたり一面星が輝く夜の光景が占領した。足元まで湖の水が迫り、遠く稜線の先右手には小高い丘が広がっていた。その先には鈍く輝く巨大な「月」が浮かんでいた。足元数メートル先には木のベンチが水につかった状態で置かれている。そして、そのベンチに白っほいドレスの裾を水につけたまま身にまとった女が足を組んで座っていた。



もちろんこれは3Dモニターが再現した世界であることはカーラたちも理解していた。

女が口を開いた。

「ようこそヴァースへ・・・お前たちも承知のようにこれは私が創り出した仮の世界だ。気に入ってもらえたかな?」

「あ・・・あの・・・」

あまりにも想定外の雰囲気にカーラたちは言葉が出なかった。


…続く


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写し屋爺の独り言by慎之介

SFショートショート集・・・《写し屋爺の独り言by慎之介》 写真関係だけではなく、パソコン、クラシック音楽、SF小説…実は私は大学の頃、小説家になりたかったのです(^^♪)趣味の領域を広げていきたいです。ここに掲載のSFショートの作品はそれぞれのエピソードに関連性はありません。長編小説にも挑戦しています。読者の皆さんがエピソードから想像を自由に広げていただければ幸いです。小説以外の記事もよろしく!

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