帰 還

本編は「フィオナの説得」・・・続編です。


 ラッシュは、カーラたちがラッシュの意向を厳守することを伝えると、全員を次元ポータルの前に呼び寄せた。

「お前たちの次元に送り届ける先は・・・カーラ、お前たちがやってきた地球だ。それで良いな?」

カーラはうなずくと、同行のアンドロイドに次元ポータルのアーチをくぐるように指示された。アーチの向こう側は既に地球だ。その景色はあの砂漠の中のオアシスに間違いない。カーラたちがマリコフによって送り込まれた地点だ。いよいよ元の次元に戻れるのだ。しかし、戻ってもすぐに難問が待ち構えている。直ちにすべての核放棄のプロセスを中止させて、新たな核の処理方法を模索しなければいけない。そしてマリコフの地球での企みを阻止しなければいけなかった。

 カーラが最後にアーチをくぐった。先頭にいたデビットが、全員がくぐり終えて振り向くと、アーチ内の景色が揺らぎ一瞬でアーチもろとも消えてしまった。そして全員がお互いの肩、腕を絡ませて無事に帰還できたことを喜んでいた。



 その最中クリスチーヌが一瞬身体を緊張させた。その様子に気づいたジョージがクリスチーヌの腕をつかんで

「どうした?」

「フィオナよ・・・フィオナがテレパスしてきたの」

サリームたちに緊張が走った。

しかし、クリスチーヌは皆を制して

「大丈夫よ、フィオナはもう私たちの仲間よ」

つづいてルフィナがサリーム全員を眺めながら

「クリスチーヌの言う通りだよ。実は、皆にまだフィオナのことは話してなかったけど、あたしが次元ポータルに吸い込まれる直前にフィオナにテレパシーで伝えておいたことがあったんだ・・・あたしはマリコフをそそのかしてわざと次元ポータルに吸い込まれること、マリコフが異次元から戻ってきた経験者であること、次元ポータルの入手先をマリコフ自身から聞き出した話を伝えておいたのさ」

ルフィナがクリスチーヌに向かって

「・・・で、フィオナはなんて言ってきたの?」

クリスチーヌが

「兄のリオネルも分かってくれたそうよ。それと、マリコフは今地球の核をドンヴァースに転送する準備で忙しいから、私たちが異次元から戻ったことにマリコフが気づく前に私たちと合流したいって・・・私がフィオナたちを連れてくるわ」

そう言い残すと、クリスチーヌが数秒後にフィオナとリオネルを連れて戻ってきた。

カーラが

「積もる話は後よ・・・まずは核廃棄を止めないと大変なことになる。ウィン博士たちも心配してるからみんな揃ってソフィアに帰還よ」


…続く


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写し屋爺の独り言by慎之介

SFショートショート集・・・《写し屋爺の独り言by慎之介》 写真関係だけではなく、パソコン、クラシック音楽、SF小説…実は私は大学の頃、小説家になりたかったのです(^^♪)趣味の領域を広げていきたいです。ここに掲載のSFショートの作品はそれぞれのエピソードに関連性はありません。長編小説にも挑戦しています。読者の皆さんがエピソードから想像を自由に広げていただければ幸いです。小説以外の記事もよろしく!

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